「数学って面白い。」と思ってしまう本です。
「キーポイント」という岩波書店の理工系数学入門書シリーズの中の1冊です。豊富なイメージで分かりやすく解説しています。1996年に第一冊が出版されて以来、私ので第17冊ですから、いかに愛読されてきたかが分かります。
例題形式で気軽に楽しめますので、勉強というより余暇の時間に好奇心を満たすのに向いている本かもしれません。
とはいえ、例えば、積の微分や合成関数の微分、一変数の積分はどうやるのか、行列式、逆行列とは何か、tanθ= sinθ/cosθ であることや、x = r cosθ、y = r sinθ であることが分かっていないと理解は出来ません。
著者は東京大学大学院の物理学の教授で、数学を実用的に使いこなす視点で説明されており、それが私には有難かったです。また積分を利用して「エネルギー保存の法則」などを、物理を全く知らない私でも納得出来るように説明されており、微積分とは「事象を分解したり組み立てて、本質を理解していく」ことなのかもしれないと思い至りました。
加えて、「テイラー展開」の詳細な説明や、「ラグランジュの未定乗数法」がなぜ有効かの解説まであり、これらを技法として使ってきた私には、とても勉強になりました。
投資を「数字によって描き出された事象」と捉えれば、分析し解明し組み立て直すには、微積分はもとより数学が欠かせず、一知半解では、とんでもない誤解や間違いを引き起こすことに気が付きました。幸い「キーポイント」シリーズは本書を含めて「線形代数」、「微分方程式」など全10冊ありますので、読み進めて基礎的な理解を深めていくつもりです。