バフェットとソロス 勝利の投資学

論語に「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ。」とあるそうですが、投資スタイルの全く異なる偉大な投資家の二人に共通するのは、まさにこれだと思いました。

この本はそれ以外も含めて、投資において二人に共通する23の習慣を解説しています。

しかし確実な成功に導く魔法のような習慣があるのではなく、「自分にはこれしかない。」という分野を決めて、失敗を繰り返しながら経験と知見を蓄えて、結果ではなくプロセスを大事にしながら、冒頭申し上げたように失敗を素直に認めて素早く修正するという、どんな仕事でも成功するのに欠かせない当たり前のことを解説していることに、何度か読み返すうちに気が付きました。

それでも、心から投資で成功したいと願う、特に専業投資家を目指される方なら、この本を読む価値が十分にあります。

ところで著者は分散投資に否定的ですが、分散投資を行う価値があることを認めている箇所がありますし、何より私が納得したのは、投資に成功する習慣が共通していても、各自にそれぞれ独自のスタイルがあることを認めている点です。

分散投資を知りつつも、これまでの成功体験に基づいた独自のスタイル(毎月分配型投信を好む、為替差益獲得を目指す、10%増えれば利益確定など)で成功を求めるお客様がいらっしゃいます。分散投資をするほうが成功確率を高められると私は思いますが、そういうお客様に分散投資を押し付けるより、それぞれのスタイルの良さを探して、成功する確率を高めるお手伝いをすることのほうがずっと大事であることに、最近気が付き始めていましたので、本当にその通りだなあと思いました。

100%正しい方法なんて、投資に限らずどこにも無いのですから、自分自身が間違うかもしれないことを謙虚に認めて、自分の方法を押し付け過ぎず、お客様それぞれのスタイルを大切にする、そういうアドバイザーになりたいと、この本を読んで心底思いました。