入門経済数学 Ⅰ・Ⅱ

入門経済数学 Ⅰ・Ⅱ

G.C アーチボルド ・ R.G リプシー
1982/09/30
多賀出版
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この書籍の評価
4.0 rating

「経済ニュースは読んでいるけど、アカデミックなことが理解出来たら、もっといいのに・・・。」
と思っている人にお勧めの本です。

とはいえ、厄介なのは数学です。「世の中に数学さえ無ければ・・・。」と思われる方が
いらっしゃるかもしれませんが、経済学を理解するためには数学の知識が欠かせません。
そこで、数学を学びながら、経済学も学べる「一粒で二度おいしい」数理経済学の入門書
が、これです。

「難しいことをわかりやすく」、という方針が貫かれています。例えば、連続複利と
ネイピア数 e について、これほど解りやすく説明している本を、私は他に知りません。

中学の数学が理解出来ていることを前提に説明がスタートしますので、微分・積分、行列
などを扱ってはいますが、元々数学は好きだったけど、授業をさぼったり、問題を解かず
に高校数学で挫折した人なら、大丈夫です。

取り上げている経済学のテーマが面白く、もしご興味があれば、第9章のコブダグラス(型)
生産関数の説明を読んだ後に、生産を付加価値に置き換えて、公開されている財務データから、
投資先企業の生産関数を推定してみると、理解が進み新たな発見があるはずです。

また、第16章の「クラ(ー)メルの公式」を利用した定性分析を読むと、デフレ脱却の
ために、金融政策と財政政策のどちらが効果的? という議論が、なぜ起こったのか、や
利上げの判断のために、実質賃金の増加がどうして重要なのか、がよく分ります。

とはいえ、内容が内容なだけに、私は凡人ですから、スイスイ読み進めることは最初から諦めて、
ノートとペンを用意して、数式の展開や導出を書きながら読んでいきました。

残念なのは、練習問題の解答のチェックが甘く、第8章4bはfy/fxとしなければならな
いところを、fx/fyと書いてあったり、13章5bの解答が間違っていたりすることです。

その分☆を一つ減らしましたが、良書です。