敗者のゲーム

お恥ずかしいことですが、この本の存在を私が知ったのは今年になってです。しかし、この本に書かれている内容は、私が採用している投資方法そのものです。

「どんなに優秀でも、市場平均を継続して長期に上回ることが出来るファンドマネージャーは、ほんの僅か。だからパッシブファンドをコアにポートフォリオを組成して運用すれば良い。現在はコスト安のパッシブファンドが買えるから、それを利用しない手はない。」

これが私の考えであり、この本が言いたいことです。ただし、私は個別株やアクティブファンドをお客様のご希望に応じてサテライトで加えることがあります。

なお、お読みになるときに気を付けた方が良い点は次の通りです。

・株価が平均回帰であるかのような印象を与えてしまう記述がありますが、平均回帰はPERと理解して読まないと、早め早めに売却してしまい、十分な利益を獲得できない習慣が身に付いてしまう可能性があります。

・著者は株式100%で運用しているそうですが、それは優秀なプロのドライバーが、このコース(取引市場)でこのマシーン(投信やETF)なら、ココの直線は時速300kmで運転できる、と言っているようなものです。しかし中には、初心者もいれば、プロにならなくてかまわない、という人達もいるのですから、そういう人達は自分の力量(リスク許容度)に応じて減速(株式割合の引下げ)しないと、土砂降り(株価急落)になったら恐怖でハンドル操作を誤ってクラッシュ、だってあるかもしれません。

・投資経験があるなら、付録も読むとパッシブ運用では何が大切なのかが、よく分かります。

これらを念頭に読めば、こんなに良い本はないです。しかし、継続して長期に市場平均を上回ることが出来る投資家を目指すのであれば、この本は全く合いませんのでご注意ください。