資産運用の本質 ~ファクター投資への体系的アプローチ~

素晴らしいです。

実務で湧き出た疑問を、モヤモヤしたままにしないための考えるヒントが満載です。

これほど広範に渡って、実務上の問題を学術研究を踏まえて解説している本に、私は今までお目にかかったことがありませんでした。また、ある程度の知識があれば直感的に理解できるように、理路整然と分かりやすく書いていますので、とても読み易いです。本当に深いところまで理解していないと、ここまでは書けないはずです。コロンビア大学で教鞭をとり、資産運用会社のブラック・ロックでマネージング・ディレクターを務める著者だからこそ書ける本だと思いました。

この本を読むまで、ファクター投資についての理解が足りなかったと思います。これを機会に、ファクターという視点で投資対象を捉え直してみようと思います。そうすれば、超過収益を何でもアルファというブラックボックスに放り込むことが無くなり、投資をもっとシステマティックに行えるようになって、成功確率が高まるはずです。またリバランスの理論的な意味や、インフレヘッジには何が適しているか、ヘッジファンドがエクスポージャーを持つファクターが何かなどを理解できたことは、大きな収穫でした。

この本は2016年に出版されましたが、8年経った今でも内容に古さを感じません。しかし出来ることなら、その後のトピックを踏まえた改訂版が出版されることを心待ちにしています。