Confirmation Bias: A Ubiquitous Phenomenon in Many Guises

タフツ大学心理学部研究教授で、認知心理学等の分野で多大な貢献をされたRaymond S. Nickerson氏による「確証バイアス」についての論文です。

「確証バイアス」とは、自分の信念や仮説を支持する情報を探し、解釈し、記憶する傾向のことです。極論すると、見たい現実だけを見て、それを記憶する傾向と言えるかもしれません。投資をする上で、このせいで何度も手痛い失敗を私は経験しました。今は自分の判断が「確証バイアス」の影響を受けていることに気が付いている分以前よりマシですが、この論文を読むと、私が人である以上、「確証バイアス」から逃れられないことがよく分かります。

ところで仕事柄、私は経済ニュース番組の有料配信契約をしています。番組内で解説される方々の高い見識と深い知識に感心することしきりですが、あくまで参考とするだけで、それによって自分の投資方針を決めることはありません。その理由は、どんなに立派な見識と知識をお持ちでも、人である以上「確証バイアス」から逃れられないからです。またそれらの予想や見通しを確実視せず、外れた場合のことや、予想や見通しにはない事が生じる可能性を常に考えているのも「確証バイアス」の影響を考慮しているからです。

なお、これを読む前に認知心理学の基礎を勉強しておくことをお勧めします。論文の中でも解説されていますが、Wasonの2-4-6課題については、ある程度知っておくと理解しやすくなるはずです。しかし認知心理学を勉強したことがない人でも、二番目のセクションの「The Confirmation Bias in Real-World Contexts」を読むだけで価値があるはずです。なぜならここを読むと、こんなに「確証バイアス」が私たちの実社会に影響を与えているのかと、気づかされるからです。

「確証バイアス」の全体像を理解したい方にお勧めです。