Explaining Japan’s Unproductive Two Decades

 独立行政法人 経済産業研究所のファカルティフェローで一橋大学経済研究所 教授 深尾京司 氏の書かれたディスカッションペーパーを紹介します。

 バブル崩壊後の「失われた20年」に、日本の生産性が低下した理由を、全要素生産性(Total Factor Productivity)に着目して分析されています。

 読んでみると、米国で、アマゾンの配送センターが高度に自動化されていたり、ウーバーやエアビーアンドビーといった会社が誕生する理由、日本で、消費税引上げのポイント還元を通じて、中小小売店のキャッシュレス化を推進したり、また雇用システムを改善して同一労働同一賃金を実現しなければならない理由、更に、グローバル展開する日本企業に勤める日本人と地方の中小企業に勤める日本人とでは、給与や待遇で格差が拡大する理由が判ります。

 残念なのは、データの不足から製造業に比べて非製造業の分析が不十分な点です。日本は他の先進国同様、非製造業の占める割合の方が高いので、非製造業の分析が精緻に行えれば、生産性低下の原因がもっと明確になるはずです。

 しかし、上記を考慮してもなお、生産性上昇のヒントを与えてくれており、中小の会社を経営されている方や、今後日本と同じような道を辿るかもしれない新興国に投資する際の着眼点を得たい方にとっても、大変示唆に富む内容になっています。ご興味のある方は是非ご一読ください。